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2008.11.04

『沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ一』 夢枕獏

遣唐使として入唐した、橘逸勢と空海。
二人は、ただならぬ存在が起こしている、奇妙な事件と係わりあうようになり・・・というお話。

並外れた能力と知識を持ち、ミステリアスな雰囲気を保っている、空海。
時に素直すぎるほど真っ直ぐに問い、いい漢に描かれている、逸勢。

このコンビは、まるで『陰陽師』の安倍晴明と源博雅のコンビではないか、と思いました。

宇宙や、曼荼羅、善と悪。
ややこしく、難しいことを言い、聞いている側は、分かったような分からないような、騙されたような気持ちになる。
それでいて、逸勢は怒るでもなく、空海の知識に、素直に驚嘆する。

この二人の会話も、熟考の末、空海についていく逸勢のポジションも、まさにそのままという気がします。

倭の国では、己が天才だと自負していた逸勢は、源博雅に比べると、ちょっと奢ったところがあります。
密を盗もうという空海も、達観した安倍晴明に比べると、少し世俗的な感じはします。

倭国だけでなく、唐に関連する諸外国のこと。
仏教だけでなく、他の宗教のこと。
さまざまなことを盛り込んでいるので、厚みのある本の割には、話が進みません。

妖しい猫に妻を取られた、劉雲樵。
背後に何かが潜んでいそうな、麗香姐さん。
謎めいた使命を持つ、大猴。

やっと役者が揃って、スタートラインに立った、という感じです。
長い巻を読みきって、特に何事も解決しませんでした。

面白そうなので、読みすすめようとは思いますが、1つの巻でもある程度の区切り、起承転結が欲しかったです。

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