『篤姫 わたくしこと一命にかけ』 原口泉
副題は、徳川の「家」を守り抜いた女の生涯。
筆者は、大河ドラマ「篤姫」「翔ぶが如く」「琉球の風」の時代考証を担当した人です。
史実的なアプローチで、篤姫の生涯に迫っていきます。
本人の意思を伝えるためと、必要に応じて、原文そのままの引用があります。
そのため、『最後の大奥 天璋院篤姫と和宮』に比べ、読みにくいところもありました。
けれども、要約が必ずついているので、内容は理解できますし、一語一語から本人の心情が伝わってくるという、原文ならではの良さもあります。
中でも江戸総攻撃を前に、徳川家を守るために送った、和宮と篤姫の書状は、特に読み応えがあります。
特に篤姫の手紙では、慶喜は切り捨て、徳川家の存続に注力しているのが、興味深かったです。
養子縁組によって、どうしても複雑になりがちな、江戸時代の家系図。
本書では、家ごとにすっきりとまとめてあり、とても分かりやすかったです。
格別の目新しさはありませんが、大河ドラマと絡む内容で、楽しく読みました。
読み始める前は、「泉」という名前から、勝手に女性だと思っていました。
現代の女性の結婚観に対して「女性の主張が強くなり」と、まるで我が儘であるかのように言っていたり。
「嫁して三年、子なくば去る」で、篤姫が薩摩に帰り、別の人と再婚して子をもうければ、別の「女の幸せ」があったであろうとか。
それを「棒に振って」徳川家の最後を守り通した、とか。
こういう旧時代的な女性観に違和感を感じ、調べてみると、やはり男性でした。
もう一つ気になったのは、篤姫5歳、忠冬14歳のとき、地元の少年に因縁をつけられ、篤姫が砂を投げつけて兄をかばう、というエピソードについて。
『篤姫の生涯』では、篤姫の豪胆さを垣間見るエピソードとして語られていました。
本書では「史実的にはあり得ないこと」とされています。
どちらが正しいのでしょうか。
女性の幸福観は、必ずしも共感できなかったのですが、面白く読むことが出来ました。
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