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2008.07.18

『有頂天家族』 森見登美彦

愛すべき「阿呆の血」を引いた、狸たちの物語。
ハチャメチャなんだけれど、痛快で、楽しい作品でした。

舞台は、10円電話のある、レトロな京都。
そこはただの京都ではありません。
天狗と、狸と、人間が、渾然一体となって暮らしているのです。

狸は、愛らしい少女から冴えない学生まで、さまざまに化けて過ごし。

洛中のケンタッキーに出入りしている客のほぼ半分は狸に占められるという統計もある。

なんて設定に、初めは戸惑うのですが、気がつけばそれが自然に感じられるから、不思議です。
奇妙奇天烈な設定ながら、その世界に入り込ませる力は、『夜は短し歩けよ乙女』同様ですね。

天狗には天狗の、狸には狸の派閥争いがあり、さまざまな駆け引きや愛憎があります。

自信も地位も失った、天狗の「赤玉先生」。
天狗の技を身につけ、狸も天狗も人間も手玉に取る、人間の「弁天」。
狸の愚兄弟「金閣」「銀閣」。

個性的なキャラクターたちが、活躍します。

下鴨一家の家族愛は、狸であるとか人間であるとかを、超越していきます。
笑えて、泣けて、最後まで楽しい物語でした。

今回も登場した、偽電気ブランと赤玉ポートワイン。
一度飲んでみたくなりました。

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