『ゴールデンスランバー』 伊坂幸太郎
2008年本屋大賞。
仙台入りした首相が、暗殺された!
犯人は、二年前にテレビでもてはやされた、とある宅配ドライバーだという。
メディアがあおった、青柳雅春の捜索劇の真実とは・・・。
伊坂幸太郎作品では、政治家や、世の中の思惑、強大な力というのを扱うことが多い気がします。
その世相の皮肉り具合もちょうどいい。
熱血過ぎず、かといって無気力すぎない若者も、近しい感じがします。
シニカルな描写や、ふとした鋭い視点が心地よいのです。
個人的に、ミスチルの心地よさに近いと思っています。
極々普通の人だったはずの青柳が、一人で戦えてしまうのは、冷静に考えるとおかしいです。
敵のスケールが大きすぎて、まるで「ダイハード」のよう。
ありえない絶体絶命のピンチなのに、どこか飄々とした逃げ方が、伊坂作品らしい雰囲気でした。
挿入される、学生時代の想い出話も、どこかにやっとしてしまう小気味よさがあります。
ハッピーエンドかはともかく、高圧的で、身勝手な、警察権力に、一矢報いる爽快感がありました。
裏社会との繋がりを吹聴する、偽骨折患者とか。
森の声が聞こえると嘯く、大学時代の友達・森田森吾とか。
伊坂作品には、ちょっと変人な人たちの存在感が、大きいです。
常識の型には当てはまらないけれど、その行動力と言葉には、どこか胸を打つ力があります。
作中の時勢が飛び飛びだったこと。
まとまった時間をとって読めなかったことが相まって、思ったより入り込めなかったのは残念。
面白かったけれど、すごくハマるというところまでは行かなかったです。
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