『クジラの彼』 有川浩
爽やかで心地よい、恋愛短編集。
ご本人があとがきで「ベタ甘ラブロマ」とおっしゃっている通り、少女マンガに出てきそうな恋愛ばかりです。
実は全編、自衛官にまつわる物語。
現実の自衛官はこんな微笑ましくない、と思いつつも、ついつい読み込んでしまう魅力がありました。
ものすごく甘い世界なのに、くどすぎないバランスがいいんですね。
表紙も爽やかです。
「クジラの彼」は、潜水艦乗りとの遠距離恋愛がテーマ。
クジラ=潜水艦を愛するハルと、聡子。
ただでも海上に出て連絡できる時が短く、しかも不定期な潜水艦なのに、メール下手(?)なハルは、短文しか送ってこない。
聡子は、だんだんと不安になっていく。
二人ともまだ若く、初々しい物語でした。
職種は違うのですが、「海猿」を連想させる設定でした。
「ロールアウト」は、航空自衛隊の次期輸送機の設計をめぐるバトル。
衝突する二人が、やがて…という展開は、ハーレクインロマンスのようでした。
これも「ベタ甘ラブロマ」の典型ですね。
「国防レンアイ」は、女性自衛官=WACの恋愛事情。
「有能な彼女」は、30過ぎた夏木が、年下の彼女との付き合いに悩む物語。
「クジラの彼」にちらりと登場した夏木は、明るいムードメーカーという印象でしたので、最初はギャップがありました。
ハルと聡子のその後が、微笑ましいです。
「脱柵エレジー」は、脱柵=脱走にまつわるどたばた。
実際に脱走したら、洒落にならないくらい怖いんでしょうけれど、物語では温かくまとまっています。
「ファイターパイロットの君」は、『空の君』で登場したカップルの続編とか。
逞しく、でも性格が可愛らしい女性パイロットと、配偶者の物語です。
皆一生懸命で、微笑ましくて、嫌な人間がほとんど登場しなくて。
読後感が心地よく、温かい恋愛物語でした。
この本を読むきっかけとなった、「なほまる日記(離れ)」さまのレビューでも、
「なるほどなー」という笑える設定と展開で、 でも甘~い恋愛モノというアンバランスが独特の読後感です。
と、読後感を褒めていらっしゃいました。
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コメント
こんにちは トラバと紹介、ありがとうございました。
自衛隊が舞台なのですが、女性が書くとこんな風なんだなー
と面白く読みました。
余談ですが、うちの近くの本屋さんは「男性作家『あ』」のところに、
有川さんの本が入っていて、「女性なんだけど・・・」
とずーっと思ってました。
店員さんに言えず、ついつい、自分で「女性」のコーナーに変えてしまいました(笑
投稿 なほまる | 2007.08.08 11:45
【なほまるさんへ】
こんにちは。
こちらこそ、楽しい本との出会いをありがとうございました。
>自衛隊が舞台なのですが、女性が書くとこんな風なんだなー
>と面白く読みました。
福井晴敏の世界とは、180度違いますよねw
>店員さんに言えず、ついつい、自分で「女性」のコーナーに変えてしまいました(笑
あははw
名前からして、勘違いしている店員さんがいるんですねぇ。
同じ作家の本が少しはなれて入っていたりすると、
私もついそろえてしまったりしますw
投稿 KOROPPY | 2007.08.08 14:31