2014.09.30

『Sの継承』 堂場瞬一

クーデターによって、新しい日本を作ろうとした男たちがいた。
50年後、再び計画が動き出す。

ボリュームのある作品ですが、読みやすかったです。

思想の形成から、メンバーによる改革計画まで、じっくり描かれているので、彼らの考え方はよく伝わってきます。

過去の事件はゆっくりと進んでいきますが、現代に戻ると、ノンストップの展開に。
スピードに乗った後半は、テンポもよく、面白かったです。

ただ、過去も現在の計画も、民意を得て成功する姿が、最後までイメージできませんでした。

頭でっかちの思想というか、上から目線というか。
脅迫によって自分の要求を通したとしても、国民の支持がなければ、いずれ瓦解してしまうのでは。

実現性に乏しく、「民衆も計画に乗ってしまったらどうなるのだろう」という、ハラハラ感はなかったです。

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 【既読の堂場瞬一作品】
『チーム』
『ヒート』
『BOSS』
『大延長』
『天空の祝宴』
『独走』
『傷』
『ミス・ジャッジ』
『神の領域』
『蒼の悔恨』
『10-ten- 俺たちのキックオフ』
『虚報』
『歪』
『衆』
『暗転』
『誇り』
『異境』

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2014.09.26

『ファミレス』 重松清

日本経済新聞連載の書籍化。

バツイチで、子どものいる女性と再婚した、康文。
子どもを持たず、おしゃれな夫婦としているうちに、別居状態になった、一博。
子ども2人が巣立ち、初めて妻と2人の生活に直面した、陽平。

男友達3人が直面した、夫婦の、親子の問題。
それぞれが選ぶ結末とは。

本人たちだけではなく、教え子だったり、習い事の先生だったり、他にもさまざまな問題が。

誰もが悩みながら進んでいきますが、暗さはありません。
コメディタッチで、テンポもよく、楽しかったです。

なんだかんだ言っても、みんな根はいい人で、人のあたたかみを感じられるので、読後感もいいです。

タイトルは、ファミリーレストランではなく、ファミリーレスのこと。
家族でファミレスって、確かにあまり行かないかも……と、うなずかされました。

唯一の難点は、エリカ先生母娘。
ほぼ初対面の相手の家に上がりこみ、人をあごで使う非常識さは、読んでいて不快でした。

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 【既読の重松清作品】
『送り火』
『うちのパパが言うことには』
『くちぶえ番長』
『ブランケット・キャッツ』
『流星ワゴン』
『きよしこ』
『青い鳥』
『とんび』
『再会』
『ツバメ記念日-季節風 春』
『ぼくたちのミシシッピ・リバー―季節風 夏』
『少しだけ欠けた月-季節風 秋』
『サンタ・エクスプレス―季節風 冬』
『ブルーベリー』 
『小学五年生』
『ステップ』

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2014.09.23

『三谷幸喜のありふれた生活6 役者気取り』 三谷幸喜

朝日新聞連載の書籍化、第6弾。

忙しい時期だったのか、ストレートに仕事にまつわる内容が、多い印象です。
いわゆる日常エッセイは、やや少なめ。

「脚本家、映画監督、俳優」という肩書きについて、というテーマが興味深かったです。

肩書きをあげるならば、やはり脚本家だと思いました。
映画監督は、作・演出の延長上にあるイメージ。
また、俳優やタレント的な活動は、宣伝のひとつという印象で、肩書きとまではいかないかなと。

でも、そうやって紹介されてしまうのもうなずける、多才ぶりですね。

もうひとつ面白かったのが、巻末の特別インタビュー。
「コンフィダント・絆」に出演した、相島一之、寺島康文、中井喜一、生瀬勝久が、三谷像について語っています。

稽古場での姿、プライベートな姿、初対面の印象と、その後の印象。
テレビではわからない一面が面白かったですし、それに対するご本人の一言(反論?)がまた、楽しい。

特に、古い付き合いの、相島一之から見た姿が、新鮮でした。

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 【既読の三谷幸喜作品】
『いらつく二人』 
『むかつく二人』
『気まずい二人』 
『オンリー・ミー 私だけを』
『清須会議』
『古畑任三郎 1』
『三谷幸喜のありふれた生活2 怒涛の厄年』
『三谷幸喜のありふれた生活3 大河な日日』

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2014.09.22

『ユニコーン-ジョルジュ・サンドの遺言』 原田マハ

疫病を避けるため、ブサック城に逗留することとなった、作家ジョルジュ・サンドと子どもたち。
そこで彼女たちは、とあるタピスリーと出会う。

史実をもとにした、フィクション。

ジョルジュ・サンドが賛美したことで、タピスリー「貴婦人と一角獣」が世に知られるようになったのは、史実だそう。
実際の著作の翻訳が、付章になっています。

その前に、創作である小説を読む構成。

知識のないまま、まず物語世界に入ったので、タピスリーを神秘的に感じました。
ちょっぴりホラーのような、謎めいた物語。

実際のタピスリーのカラー写真が冒頭にあるので、作品を念頭に置きながら、楽しめます。

ただ、単体の作品としては、中途半端な終り方というか、物足りないような。
「本作は長編「ユニコ−ン」の序章」(原田マハツイッターより)とのことで、これだけで味わうものではないのかも。

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 【既読の原田マハ作品】
『総理の夫』
『楽園のカンヴァス』
『ジヴェルニーの食卓』
『生きるぼくら』
『一分間だけ』
『カフーを待ちわびて』
『恋のかたち、愛のいろ』
『恋の聖地 そこは、最後の恋に出会う場所。』
『本をめぐる物語 一冊の扉』

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2014.09.21

『特命捜査』 緒川怜

殺された男は、元公安だった。
瀬川たちは、彼が最後に担当していた、カルト教団の事件を追っていく。

入り込めずに終わってしまいました。

公安と刑事の対立。
瀬川自身の過去。

ありがちながらも、興味をひく始まり方でした。

が、ちょっと偶然の要素が多いような。
父親の過去と、生き別れの妹は、やりすぎな印象でした。

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