2009.12.17

『数学ガール』 結城浩

数学が好きな三人の高校生が、さまざまな問題にチャレンジしていく。
そこには仄かな恋心も混じって・・・という小説。
シリーズになっているようです。

ミルカは、遥か高みから、ハイレベルにアプローチ。
後輩のテトラは、地道に一つずつ確認しながら、進んでいく。
そして二つのアプローチに刺激される、主人公。

とてもバランスのよい三人組でした。

最初こそなんとか分かったのですが、後は難しくてついていけませんでした。
文系で、微分積分の土台が不足しているようです。

一つの問題に、違ったアプローチをしてみたり。
とある問題を解いているうちに、公式にたどり着いたり。

分からないながらも、プロセスを自分で追って発見する楽しさは、伝わってきました。
きちんと理解できたら面白いんだろうな、とは感じさせてくれる作品でした。

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 【既読の数学関連作品】
サイモン・シン『フェルマーの最終定理』
小林吹代『大人の算数 子供の数学』
安野光雅『はじめてであうすうがくの絵本 1』

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2009.12.13

『プリズン・トリック』 遠藤武文

第55回江戸川乱歩賞受賞作。
トリックに関しては、つっこみたいところがありますが、それをひとまず置いて、最後まで読んでしまう作品でした。

凶器を持ち込みにくく、また出入りも管理されているはずの刑務所で起きた、密室殺人。
しかも犯人と思しき受刑者が、脱走している!

それだけでも謎なのに、事件の詳細が明らかになると、新たな謎が現れる。
次から次へと現れる謎に、最後まで読む手が止まりませんでした。

加害者の謝罪と、被害者の遺族の心情。
そして加害者の両親の葛藤。

この二つは、交通事故の罪と現実を描きたいという、筆者の意図がよく現れている場面で、じーんときました。

タイトルを変えたのもよかったです。
応募時のタイトルは、何を描きたいかストレートに分かるけれど、ミステリタイトルとしてはどうかなと。

ラストのどんでん返しも上手いです。

視点がよく変わるのが、少し読みにくかったのが残念です。

読者を最後まで引っ張っていく力はあるので、次はトリックにも説得力を持たせられたら、万人がうなる作品になるのでは、と期待です。

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2009.12.11

『追想五断章』 米澤穂信

亡くなった父親が残したはずの、小説を探したい。
報酬に惹かれた、古本屋アルバイトの菅生芳光は、娘さんからの依頼を受けること決め・・・というお話。

『このミステリーがすごい! 2010年版』国内第3位。

次々に小説が見つかるものの、どれもリドルストーリー。
それは結末を明かさない形式だけに、叶黒白の意図は何であったのか、掴み切れず。
謎が明らかになったと思いきや、新たな謎を呼んでいくのです。

匂わされる過去と、小説の意図。
上手く謎を散りばめていて、最後まで引っ張っていってくれます。

最後の謎解きは分かりやすく、意外な展開に、驚きも与えてくれました。
よく構成された作品でした。

高校生を主役とした作品とは、一味違っていました。

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 【既読の米澤穂信作品】
『Story Seller』
『インシテミル』
『氷菓』
『愚者のエンドロール』
『クドリャフカの順番 「十文字」事件』
『春期限定いちごタルト事件』
『夏期限定トロピカルパフェ事件』

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『安吾探偵控』 野崎六助

坂口安吾のワトソン役を自任する鉄管小僧が、老いてから語った、過去の事件とは・・・という物語。

女系家族の血縁だとか。
"お家さん"と呼ばれ、家を取り仕切るという老婆だとか。
歴史ある酒造の建物とか。

最初はいいかなと思っていたレトロな味わいが、だんだんとまどろっこしく感じ始めました。
話が進まないし、大仰に描かれている割りに、それほどの事件にも感じられなかったので。

密室密室と騒ぐなら、見取り図はもっと早く示すべきでした。

結末もすっきりしませんでした。

坂口安吾ファンなら、また見方が違うのかもしれませんが。

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2009.12.10

『このミステリーがすごい! 2010年版』

本探しの指針として、毎年楽しみにしている本書。
いつも出遅れているのですが、今年は早めに入手できました。

今年も、国内編ベスト10に既読本はゼロ。
けれども今年は、既にチェック済みの作品が多かったです。

ちょうど読もうとしていたのが、以下の二冊。

3位、米澤穂信『追想五断章』
10位、米沢穂信『秋期限定栗きんとん事件』

既に予約しているのが、以下の4冊でした。

1位、東野圭吾『新参者』
2位、柳広司『ダブル・ジョーカー』
(『ジョーカー・ゲーム』の続編)
14位、今野敏『同期』
11位、北村薫『鷺と雪』
(『街の灯』『玻璃の天』に続く、ベッキーさんシリーズ完結編)

年末に間に合いませんでしたが、アンテナの張り方は、悪くなかったようです。

それ以外で読んでみたいのは、以下の本。

8位、佐々木譲『暴雪圏』
9位、道尾秀介『龍神の雨』
12位、高城高『函館水上警察』

「このミス座談会」からは、貫井徳郎『後悔と真実の色』

「新人賞クロスレビュー」からは、山下貴光『屋上ミサイル』

海外編では、トップ2冊が面白そうでした。

1位、ドン・ウィンズロウ『犬の力』
2位、スティーグ・ラーソン『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』

『ゴールデンスランバー』映画化に絡んだ、堺正人のインタビューが、個人的にはうれしかったです。

書き下ろし小説がいくつか収められていますが、よかったのは山下貴光の『コンビニの王』。
徐々に明らかになる謎が興味深く、なかなか楽しめました。

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 【過去の作品】
『このミステリーがすごい!2009年版』
『このミステリーがすごい! 2008年版』
『このミステリーがすごい! 2007年版』
『このミステリーがすごい! 2006年版』
『このミステリーがすごい! 2005年版』
『このミステリーがすごい! 2004年版』

【2009.12.11 追記】
米澤穂信『追想五断章』読了しました。

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