2014.12.21

『雪月花黙示録』 恩田陸

享楽的な帝国主義と、伝統回帰のミヤコ。
住み分けのなされた世界でも、水面下での駆け引きはつづいていく。

出る人出る人、容姿端麗、才色兼備、文武両道、由緒正しき家柄で、人望がある……。

アニメかラノベのような設定とストーリーに、最初は驚きました。
剣術アクションも新鮮で、こういう作品も書くんだな~、と。

及川家のミッチーとか、ルイ・ボトン・モア・ヘレネーグループとか、冗談のような小ネタもたくさん。
そういうユーモアをわざとやっている作品だと思って、楽しみました。

ひとつひとつの話は面白かったですが、最後のオチがいまひとつまとめきれていないような。
風呂敷を広げたけれど、落としどころが見つからなかった印象です。

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 【既読の恩田陸作品】
『ドミノ』
『Q&A』
『夜のピクニック』
『小説以外』
『まひるの月を追いかけて』
『図書室の海』
『チョコレートコスモス』
『蒲公英草紙 常野物語』
『木曜組曲』
『ネバーランド』
『ネクロポリス』
『黒と茶の幻想』
『ユージニア』
『不連続の世界』
『蛇行する川のほとり』
『六月の夜と昼のあわいに』
『訪問者』
『夢違』
『ブラザー・サン シスター・ムーン』

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2014.12.19

『ちょうちんそで』 江國香織

高齢者向けマンションで、ひとり暮らす、雛子。
その傍らには、いつも架空の妹がいた……。

はっきり何かが動くわけではないのですが、不思議な味わいのある作品でした。

高齢者向けマンションでの住人たち。
若い異父兄弟と、そのパートナーたち。
カナダで暮らす少女と、日本人学校の先生。

最初は、ばらばらに見えた人々のつながりが、徐々に明らかになっていきます。

それぞれの描き方、切り取り方が、筆者らしい。

特に、空想の妹と暮らす、雛子の世界が、個性的。
世俗から離れ、穏やかなひとりの世界にいるのかと思いきや、激烈な過去を抱えている。

はっきりさせないまま、醸し出す雰囲気が、独特の面白さでした。

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 【既読の江國香織作品】
『ホテルカクタス』
『つめたいよるに メルヘン共和国』
『間宮兄弟』
『雨はコーラがのめない』 
『とるにたらないものもの』
『雪だるまの雪子ちゃん』
『号泣する準備はできていた』

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2014.12.18

『織部の密書』 楠木誠一郎

大阪城へ攻め入る前に、徳川家康を暗殺せよ。

淀殿、古田織部からそう命じられた忍びたちとと、家康を守る側の忍び。
三つ巴の戦いが始まる。

生き別れになった3兄妹が交錯していく、という設定に魅かれて、手にしました。

家康の暗殺という、大それたはかりごとなのに、織部方も豊臣方も、ちょっと計画がずさんなような。
あまり危険が迫ってくる感じのないまま、終わってしまいました。

3人とも勝者にはできないので、後半は、どういう落としどころにするのか、と思いながら読んでいました。

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2014.12.17

『インデックス』 誉田哲也

姫川玲子シリーズ第7弾。
「アンダーカヴァー」「女の敵」「彼女のいたカフェ」「インデックス」「お裾分け」「落としの玲子」「夢の中」「闇の色」の8編。

とても楽しく、一気読みでした。

短編集なので、話の展開が早め。
テンポがよく、姫川の小気味よさが光ります。

おなじみの脇役たちをちりばめた面白さだったり、回想や後日談といった内容だったり、なんだかスピンオフのような魅力があります。
どれも姫川をメインにした、きちんとした本編なのですが。

グロテスクな描写がなかったのも、読みやすかったです。

すでに映像化されていたり、アンソロジーに入っていたりと、すでに知っている話もちらほら。
ですが、改めてまとめて読んでみると、所轄を経て、再び本部へ復帰するまでの大きな流れになっていて、また味わいが違いました。

ちっとも協力的ではない上司と部下。
アウェーな状況での、復活の第一歩。

これからどうなっていくのか。
姫川班の完全復活はなるのか。

今後の展開が、楽しみです。

『ドルチェ』『ドンナ ビアンカ』の主人公、魚住久江の名前が挙がった小ネタも、楽しかったです。

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 【既読の誉田哲也作品】
『ストロベリーナイト』
『ソウルケイジ』
『シンメトリー』
『インビジブルレイン』
『感染遊戯』
『ブルーマーダー』
『世界でいちばん長い写真』
『ジウⅠ 警視庁特殊班捜査係』
『ジウⅡ 警視庁特殊急襲部隊』
『ジウⅢ 新世界秩序』
『国境事変』
『歌舞伎町セブン』
『歌舞伎町ダムド』
『ヒトリシズカ』
『ハング』
『ドルチェ』
『ドンナ ビアンカ』
『ケモノの城』
『幸せの条件』
『あなたの本』
『増山超能力師事務所』
『武士道エイティーン』
『主よ、永遠の休息を』
『Qrosの女』
『大崎梢リクエスト! 本屋さんのアンソロジー』
『痛み』
『最新ベスト・ミステリー 現場に臨め』

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2014.12.12

『静かな爆弾』 吉田修一

ドキュメンタリー番組を作ってきた主人公が、公園で出会ったのは、耳の不自由な女性だった……。

響子との日々から、音のない世界を知る、俊平。
静謐な時間と、騒がしい時間との対比が、鮮やかでした。

途中までは、響子との恋愛話がメインかと思っていましたが、最後まで読むと、そうではなかったのかなとも。

なんとなく知っていることと、本当に知っていることの違い。
きちんと知ろうとすること。
伝えようとすること。

なんとなく当たり前に感じていることを、根底から揺さぶられるようでした。

それらを、響子との恋愛と、俊平の仕事の両方で、描きたかったのではないかと。
タイトルを考えると、仕事の方が、実は軸になっていたのかな、とも感じました。

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 【既読の吉田修一作品】
『横道世之介』
『悪人』
『パーク・ライフ』
『平成猿蟹合戦図』
『あの空の下で』
『秘密。 私と私のあいだの十二話』
『あなたと、どこかへ。 eight short stories』
『とっさの方言』

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