2014.11.27

『とまどい関ヶ原』 岩井三四二

関ヶ原の戦いにかかわった、男たちの物語。
「大根を売る武者」「百尺竿頭に立つ」「松の丸燃ゆ」「日本一幸運な城の話」「草の靡き」「すべては狂言」「敵はいずこに」「十九歳のとまどい」の8編。

軽妙で楽しい時代小説でした。

敵陣を通り抜けて、大坂屋敷へ向かう、使者とか。
天下分け目の合戦に間に合わなかった、秀忠と、その家臣とか。
わずか600人ほどの、吹けば飛ぶような手勢で、大軍を前に右往左往する、朽木家とか。

主役級の人々ではなく、どちらかというと、その周りで、戸惑い、あたふたした人たちにスポットを当てているのが、面白かったです。

歴史的な結論から言えば、家康側につくのが正解なのですが、当時の人々には、そんなことはわかるはずもなく。
大坂側有利とも、家康側有利とも見極められず、揺れ惑う人たち。

自分の命や、お家の存続のためには、どうすればよいのか?
大きな流れの中では脇役でも、健気に頑張る姿が、ユーモアのある描かれ方をしていて、楽しかったです。

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2014.11.26

『うふふな日々』 あさのあつこ

「PHP」「日本経済新聞」の連載を中心にまとめた、エッセイ集。

面白かったです。

脱線に脱線を重ねて、タイトルの話題にたどり着けず、同じテーマで複数回引っ張ってしまうとか。
ユーモアのある文章が楽しかったです。

こんな茶目っ気のある方なんだな、と新鮮に感じました。

実家近くで、今も田舎暮らしを続けながら、母として、妻として、作家として過ごしていることとか。
物書きになりたいと子どもの頃から思っていながら、行動に移せたのは、意外にも遅いこととか。

人となりや、作家になるまでの経緯など、いろいろと知ることができました。

特に面白かったのは、ご家族やご友人について語るとき。
いつもユーモアのある言い方で、茶化してしまっていますが、根底に愛情が感じられ、楽しかったです。

第1章と第2章の配置ですが、時系列としては逆なのが、ちょっとひっかかりました。
第1章が先にあることで、結果的に第2章のネタバレになっている話があったので。

ちゃんと時系列にそって読みたかったな、と思いました。

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 【既読のあさのあつこ作品】
『一子とたぬきと指輪事件-新ほたる館物語』
『バッテリー』
『チュウガクセイのキモチ』
『人魚の鱗』
『おもしろい話が読みたい! 白虎編』
『シティ・マラソンズ』

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2014.11.25

『正義をふりかざす君へ』 真保裕一

7年ぶりに訪れた町で、次々と襲われる主人公。
今、何が起こっているのか。
そして、7年前の事件の真相とは。

狭い地方における、マスコミがふりかざす正義、といったテーマかと思ったら、違っていました。

主人公に対する、周りの警戒感が過剰で、リアルに感じられませんでした。

追われる主人公も、共感できる存在ではなかったです。

誰も彼もが、自分勝手で、私怨のごたごたを見せつけられた感じでした。

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 【既読の真保裕一作品】
『奪取』
『ホワイトアウト』
『ダイスをころがせ!』
『覇王の番人』
『盗聴』
『誘拐の果実』
『震源』
『奇跡の人』
『発火点』
『真夜中の神話』
『最愛』
『アマルフィ』
『天使の報酬』
『デパートへ行こう!』
『ローカル線で行こう!』
『天魔ゆく空』
『ブルー・ゴールド』
『追伸』
『猫背の虎 動乱始末』

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2014.11.22

『襲名犯』 竹吉優輔

ブージャムとよばれた連続殺人犯に、死刑が執行された。
ところが、もはや存在しないはずのブージャムが、再来したかのような事件が発生する。

第59回江戸川乱歩賞受賞作。

ブージャムのカリスマ性が、物語の大事な土台なのですが、そのカリスマ性が、あまり感じられず。

6人も、しかも猟奇的なやり方で殺した、連続殺人犯です。
容姿がちょっといいとか、語り口が独特だというくらいでは、熱狂的な信者がつくような魅力とは思えませんでした。

第2のブージャムは、模倣犯なのか、継承者なのか。
仁と、事件とのかかわりとは。

いくつかの謎がうまく興味を引っ張ってくれたので、真犯人の予測がついても、それなりに楽しく読めました。

司書を生業としているだけあって、図書館業務の描写は詳しく、面白かったです。

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2014.11.20

『勉強しなければだいじょうぶ』 五味太郎

絵本作家である筆者が、インタビュー形式で語る、教育論。
絵本しか読んだことがなかったので、その思想に触れられたのは、新鮮でした。

先生と親は、子どものことをよくわかっていないものとか。
勉強は、嫌々させられるものとか。
学校は、2流とか。
子どもは、可能性を秘めているのに、学校がだめにしているとか。

決めつけが過ぎるので、ちょっと引きながら読んでしまいました。

「そういう場合もある」ならわかるのですが、学校教育すべてがそうではないのでは。

もっと子ども自身の意志で学べるように、という主張だけなら、共感できます。
その引き合いに出す、学校批判の土台に偏りを感じました。

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