2014.08.26

『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』 高殿円

シャーロック・ホームズのパスティーシュ。
「シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱」と「シャーリー・ホームズとディオゲネスクラブ」の2編。

軽快で、面白かったです。

現代化も、登場人物の女性化も、パスティーシュとしては先例があるようですが、読んだことがなかったので、新鮮でした。

しかも、1人2人ではなく、ホームズとワトソンを始め、レストレード、モリアーティ、ホームズの兄まで、主要なキャラクターをほとんど女性化しているので、圧巻です。

急な仕事が入れば、子供を預けなければいけなかったり、独身女性同士ならではの会話があったり。
女性ばかりの世界ならではの、独特の雰囲気があちこちに出ていて、何ともおかしかったです。

優秀な電脳システムと連携していたり、現代らしさの絡め方もまた、楽しかったです。

続編も読んでみたくなる設定でした。

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 【既読の高殿円作品】
『トッカン 特別国税徴収官』
『トッカンvs勤労商工会』
『トッカン the 3rd おばけなんてないさ』
『上流階級 富久丸百貨店外商部』

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2014.08.25

『悟浄出立』 万城目学

中国の古典に現れる、脇役の方にスポットを当てた、短編集。
「悟浄出立」「趙雲西航」「虞姫寂静」「法家孤憤」「父司馬遷」の5編。

有名な人やエピソードを、脇役目線で描いていて、新鮮に感じました。

ただ、この方らしさ、というようなものがあまり感じられず。
今までとは、違った作風です。
万城目ワールドを期待していたので、残念でした。

ぐっときたり、入り込んだりはせず、淡々と読み終わってしまいました。
中国古典が好きだと、また感じ方が違うのかもしれません。

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 【既読の万城目学作品】
『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』
『プリンセス・トヨトミ』
『鹿男あをによし』
『鴨川ホルモー』
『ホルモー六景』
『偉大なる、しゅららぼん』
『とっぴんぱらりの風太郎』
『スタートライン 始まりをめぐる19の物語』
『ザ・万歩計』
『ザ・万遊記』
『ザ・万字固め』
『ぼくらの近代建築デラックス!』
『とっさの方言』

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2014.08.23

『動物園の王子』 中沢けい

高校の演劇部仲間である、50代の女性3人の日々を描く。
自民党の機関誌に掲載されていた話。

何があるというわけでもなく。
最後まで、入り込めませんでした。

孫が云々、という主人公たちの設定が、自分とは遠かったのも、大きいです。

娘の恋人に、「君は子どものつくり方を知らないのか?」などと言うあたり、娘の側の立場で読んでしまうので、正直、引いてしまいました。
孫を産むこと、子孫を残すことが、人生のすべてではないのでは。

見ず知らずの子供を、いきなり抱きしめるというのも、その子の親の立場で読んでしまい、ありえないと思ってしまいます。

自分がそういう年齢になれば、また感じ方は違ってくるのかもしれませんが。

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2014.08.22

『世界地図の下書き』 朝井リョウ

児童養護施設で暮らす、子どもたちの物語。

虐待、いじめ、進学……。
それぞれに悩みを抱えながら、日々を過ごす子供たち。

重いテーマですが、みんなで無邪気に過ごす場面のおかげで、思ったほどは、つらい物語になっていませんでした。

自分なりに考え、問題にぶつかっている子どもたちに、時にじーんときたり。

「逃げる」という選択肢を、肯定的にとらえるラストも、新鮮でした。
耐えるだけが人生ではない、という結論は、同感です。

ただ、いかなる理由であれ、物を盗むのは、いただけなかったです。
借りる算段をつけようとしたり、頼んでみたりせず、いきなり集団で窃盗は、ないと思います。

後で返すというなら、なおさら、先に許可を得るべきでは。

施設の子供が窃盗をすれば、もっと批判されるのが現実では、と思いました。

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 【既読の朝井リョウ作品】
『チア男子!!』
『桐島、部活やめるってよ』
『少女は卒業しない』
『最後の恋 MEN'S つまり、自分史上最高の恋。』

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2014.08.21

『ポジ・スパイラル』 服部真澄

教養もある俳優として、人気を博す久保倉と、そのレクチャー役である、住之江沙紀。
2人のもとに、ある提案をする男が現れて……。

諫早湾に、東京湾。
そして、バイオエネルギー。

海の環境問題について、よく調べられた作品で、多くのことを学ぶことができました。

環境問題は、大切かつ重要な課題ですが、政治家の決断なしには、なかなか大きな変化は期待できません。
また、志が高くとも、予算がなければ動かないのも、悲しい現実。

ただ理想を語るだけではなく、実際に世の中が回るモデルが提示されていて、こんな風に、何もかもがうまくいったらいいのに、と思わずにはいられませんでした。

一方で、説明的というか、啓蒙的な感じのする作品でもありました。
すべてがうまくいく、ポジティブスパイラルなので、一緒にハラハラしたり、先が見えなくてドキドキしたり、という物語的な楽しみには、やや物足りなさも。

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 【既読の服部真澄作品】
『龍の契り』
『清談 沸々堂先生』
『わらしべ長者、あるいは恋 清談 沸々堂先生』
『海国記 平家の時代』
『エクサバイト』
『最勝王』

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